土用の丑の日、何を食べる?

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土用の丑の日、何を食べる?

土用の丑の日、何を食べる?

2021/07/28

「本当に開催できるの?」との疑問が最後まで拭えなかった東京2020ですが、
連日、素晴らしい闘いが繰り広げられ、日本人のメダル獲得も順調のようですね。

 その一方で、案の定と言いますか、恐ろしい勢いでCOVID-19感染が急拡大しています。
緊急事態宣言が発出されているのは、本日現在、東京と沖縄ですが、
首都圏3県の知事も、国にその発出を要請しました。

 大阪も、このままいけば、4度目の緊急事態宣言となりそうな急増ぶりです。

 

 それでも国は、「オリンピックの中止という選択肢はない」とのことですが・・・  

土用って?

 そのような中、今日は、デパ地下でもスーパーの食料品売り場でも、
「ある食材」を買い求める人たちで賑わっていました。

 その食材とは・・・うなぎ です。

 今日は「土用の丑(うし)の日」にあたり、昔からうなぎを食べるという風習があるからです。
現在、国産うなぎの 7-8 割はスーパー等の棚に並び、料亭にはむしろ輸入物が多く卸されるそうです。
スーパー等で手頃な価格のうなぎを求めても、美味しい理由かもしれません。


 では、この日にうなぎを食べる理由とは何でしょうか?
そして一体、いつから、そのような風習ができたのでしょうか?
 

 「土用」といえば、夏をイメージする人も多いかと思いますが、
土用は土旺用事(どおうようじ)の略であり、実は各季節にあります。

 中医学の基本理念である陰陽五行説では、
宇宙は陰陽のバランスと5つの要素(木・火・土・金・水/もっかどごんすい)により
構成されていると考えますが、
春はぐんぐん育つ「木」、夏は燃えるように暑い「火」、
秋は実りの「金」、冬は静かな「水」がそれぞれ支配し、
残った「土」は、種を蓄え、芽を出させるという土の働き(土用)から、
各季節の終わりの18日間に当てはめたのです。

 そのため、立春、立夏、立秋、立冬の前の各18日間を土用と呼ぶようになりました。
土用は、運気が変化する時期であり、体調を崩しやすい季節の変わり目でもありますが、
次の季節へ移る前の心身の調整期間のようなものと考えてよいかもしれません。

 今日は立秋前の土用、すなわち「夏土用」ですが、この時期は「暑中」とも呼ばれます。
毎朝、明るい陽射しとセミの大合唱で目覚め、暑中見舞いを書く・届く候でもあります。
江戸時代から、この「夏土用の丑の日」は、土用の中でももっとも重視され、
様々な習慣が生まれました。

 夏土用の時期に、カビや虫の害から守るため、
衣類や書物に風を通して陰干しすることをしますが、これを「土用の虫干し」といいます。
梅干しの天日干しも、この時期に行います。

 また、この期間には田んぼに水を入れず、土をひび割れ状態にしますが、
こうすることにより雑菌の繁殖を抑え、根がしっかりと張り、丈夫な作物が実るのだそうです。
夏土用に入って3日目が晴れれば豊作、雨が降れば凶作といわれる豊凶占いは、
「土用三郎(どようさぶろう)」と呼ばれます。

 

 ちなみに、2021年の土用は、

冬土用:1月17日~2月2日  (入りの日の太陽黄径297度)
春土用:4月17日~5月4日  (同 27度)
夏土用:7月19日~8月6日  (同 117度)
秋土用:10月20日~11月6日(同 207度)

となります。
土用が始まる日を「土用入り」、最後の日を「土用明け」といいます。

 

 土用の期間は、土を司る土公神(どくしん・どくじん)という神様が支配するといわれ、
『土を犯しては(掘り起しては)いけない』とされてきました。

 今でも、家などを新築する際、土を掘り起こしたりする基礎工事は、
土用の期間を避ける方が多いようです。
しかし、土公神が天上に行き、地上にいなくなる「間日(まび)」には、作業をしてもよいとされています。

丑の日って?

     では、「丑の日」とは、何でしょうか?
丑という字は「紐・絡む」と同義で、
「種の中で芽が育ちつつ、まだ伸びていない」という意味があります。

 十二支では2番目に「丑」の年があります。
十二支は、1年ごとに1つずつ進みますが、
実は日単位にもあり、毎日1つずつ、つまり12日ごとに一周します。

約18日間の土用の期間中に訪れる丑の日、これが「土用の丑の日」です。
丑の日は、各土用に最低1回、場合によっては2回発生することになります。
 

 土用の中でも夏土用は、1年の中でも最も暑さが厳しい時期にあたるため、
柿の葉などの薬草を入れたお風呂に入ったり(丑湯)、お灸をすえたり(土用灸)と、
人々は夏バテや病気回復などに効き目があるとされることを行っていました。

 同時に、カラダを労わり、精が付くものを自然と食べるようにもなりました。
”土用の食い養生” とも呼ばれる風習ですが、
夏にうなぎを食べる習慣は実は古くからあり、万葉集には、
「痩せているあなたは、夏痩せに効くといううなぎを捕って食べたら?」
と友人に宛てた歌が残っているほどです。

 たしかにうなぎには、ビタミンA、B群、E、Dなどのビタミン類や、良質の脂質が含まれ、豊栄養です。
特にビタミンAは、うなぎ100グラムに成人の一日に必要な摂取量が含まれるほど、豊富です。 

 中医学的には、肝・腎に作用し、元気を補い、風湿を除いて、
骨や筋肉を強くする作用があるとされています。
肝や腎が弱い人、氣が不足している人、高齢者にオススメの食材ですが、
疲労感がある時、足腰のだるさや痛みを感じる時にも、効果的です。

 つまり、夏バテにもぴったりの食材と言えるうなぎですが、ニホンウナギは資源が減少していることから、
2014年にIUCN=国際自然保護連合が絶滅危惧種にしており、稚魚の捕獲量も制限されています。
価格も高止まりしており、特に「土用の丑の日」には高くなりますが、
にも拘らず、我が国ではこの日のうなぎの人気は衰えず、密漁や輸入物により、
供給量を保っているようです。
 

 そのような状況がある中で、そこまでしてうなぎを食べる必要ってあるのでしょうか?
他の食べ物ではいけないのでしょうか?

 その前に、なぜ 18日間の土用の期間ではなく、
「土用の丑の日」に特化してうなぎを食べる習慣ができたのでしょう?
    

丑の日に食べるとよいものは?

     「土用の丑の日」にうなぎを食べるという昔から我が国に伝わるこの風習ですが、
実は、江戸時代中期の医者であり学者であり、発明家でも俳人でもあった
平賀源内が仕掛けたものなのだということです。

 なんでも、知人のうなぎ屋の主人が、夏はうなぎが売れないと嘆いているのを見て、
店の前に「本日、土用丑、うなぎの日」という貼り紙をしてはどうかとアドバイスしたのだとか。
これが大当たりして、うなぎが売れに売れ、いつしか人々の間で風習となっていったようです。

 もう少し、科学的なお話だと良かったんですが、
何だか、バレンタインデーのチョコレートとちょっと似ていますね。。。
(よろしければ「バレンタインデーにスーパーフードもあわせてご覧ください。)

 元々、この日に「う」のつくものを食べると病気にならないという言い伝えがありました。
なので尚更、「土用丑の日、うなぎの日」は人々の心をつかみ、
後々まで続く風習として定着したのでしょう。

 しかし、源内の時代はどうだったかわかりませんが、前述のように、
現在うなぎは貴重な天然資源ともいえる訳です。

 また、うなぎが苦手な人や、健康上の問題で食べられない人もいます。
そのような方にもおすすめの食べ物はあるのでしょうか?

 実は、うなぎ以外にも、「土用○○」とつく食材はいくつかあるようです。
土用餅、土用しじみ、土用卵 などがよく知られていますが、
いずれも精がつく食べ物であり、この時期の体力維持回復にはぴったり、
しかも手軽に手に入るものばかりです。

 また、前述の通り、夏バテ防止のため、
夏土用の丑の日は「う」が付くものを食べると良いとされてきましたが、

  エネルギー源になり、喉越しも良く食べやすいうどん、
  カラダの余分な熱をさましてくれる瓜、
  解毒作用も疲労回復効果もある梅干し

などは、この日に限らず、暑さで食欲が減退しがちなこの時期に、
上手に活用したい食材ですね。

 もちろん、色鮮やかな夏野菜や、タコ、ハモなど旬の魚介類、
それに、汗で失われがちなミネラルを補給することもお忘れなく。

 

 暑邪猛攻の上、新型ウイルスも益々猛威を振るう今日この頃、
食生活により健康が、命が、左右される時期でもあります。

   必要なのは、まさしく ”土用の食い養生”、
たっぷりとした栄養補給が必要であることは言うまでもありません。

 

 つい冷たい物に手が出がちな時節ですが、
何を食べるにせよ、他の季節以上に陰陽寒熱のバランスを考え、
健康養生に努めたいものですね。

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