「未病の日」に思う

お問い合わせ・ご注文はこちら

「未病の日」に思う

「未病の日」に思う

2023/03/24

「未病」って?

 私たちは、日頃何気なく「健康」という言葉を口にしていますが、
では「健康ってどういう状態をさすの?」と聞かれて、
明確に答えられる人は、そう多くないのではないでしょうか?


 WHOが提唱している「健康」の定義は、

 ー 健康とは、単に疾病がないというだけでなく、肉体的にも、精神的にも、
そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいう ー

となっています。

 しかし、これだけでは不十分だとの意見も多く、WHO 執行理事会において、
社会的にも、の後に、「spiritual(霊的)にも、 dynamic(動的)に」を加えた
新しい健康の概念が検討されたこともありましたが、正式には採択されていません。

 しかし、実際、”真の健康” を考えるにあたってには、
やはりこれらも加えるべきなのでは・・という気もしなくはないですよね。

 いずれにしても、「すべてが満たされた状態にあること」= 健康 なのだとしたら、
「自分は健康だ」と断言できる人って、一体、どれくらいいるのでしょうか?

 では、健康とは言い切れない人(状態)= 病気 かというと、そうでもありませんよね。

 この「健康でもないが、病気でもない状態」、これを『未病』といいます。

日本語ではない?

 この「未病」という言葉は、今から約 2000年前、
古代中国の医学書『黄帝内経 (こうていだいけい)』に記載されたのが最初と言われています。

 中国や韓国の医療ドラマを見ていると、王やその家族の主治医が、
脈などを診て体調を判断し、煎じ薬や食事の献立(食材)を指示する場面がよく出てきますが、
これはまさに、未病を発見し、病気に移行する前に治そうとしているのです。

 黄帝内経にも、『未病の時期に治すのが聖人(名医)』」といった記述がありますが、
「治未病」「未病先防」という、西洋医学には存在しない概念を持つ中医学では、
このように、「病気になる前に見抜き、治すことができる」医師こそが名医であり、
上医・中医・下医 という医師の職階の「上医」に該当します。

 また、「薬食同源」を重要な基本理念の一つとする世界でもありますので、
食事指導により「治未病」「未病先防」を叶えることも多いことから、
「食医」と呼ばれることもあります。

 

 しかし、法律的に西洋医学を ”国の医学” ”標準医療” と定める我が国では、
残念なことに、この「未病」という概念を正式に認めていません。

 そのため、広辞苑にも長く掲載されることはなく、
日本語としての認知度は決して高くなかったという実状があります。

 江戸時代の本草学者・儒学者である貝原益軒の名著『養生訓』には、
『病が未だ起こらない状態で、養生が必要だが、そのまま放置しておけば大病になる』
と書かれているにも拘らず・・・です。

未病の日はいつ?

 しかしながら、高齢化社会による、医療保険・介護保険の財源問題や、
パンデミックを経験したことによる国民の健康意識の高まりが、
近年の健康ブームに拍車を掛ける形となり、
「予防医学」の重要性が、一層叫ばれるようになってきています。

 我が国も「未病」という概念の重要性に気づき始めたようで、
厚生労働省も令和に入り、未病指標というものを公表しています。

 

 未病とは、高血圧、高脂血症、高血糖、肥満、動脈硬化、骨粗鬆症、メタボリック症候群など、
検査で一定の異常が認められるものだけでなく、
倦怠感・疲労感、肩こり、冷え、のぼせ、疲れ、手足のしびれ、めまい、食欲不振、気力の低下、
睡眠の質の低下、婦人科領域に多い不定愁訴なども含まれますが、

重篤な状態に陥る前に、未病の段階で治す(あるいは予防する)
「治未病」「未病先防」こそが、予防医学の根幹とも言えるのです。

 

 そして、その中心となるのは、食生活を中心とした生活習慣の改善、
及びストレスを溜め過ぎないなどの、心の健康管理かと思われます。

 中医学を含む東洋医学・伝承医学では、未病は元々、治療対象であり、
食事療法や漢方薬などの「内治」、鍼灸や推な(中国式手技療法)などの「外治」他、
気功(内治・外治)などを組み合わせて症状を改善するだけでなく、
病気になりにくいカラダ作りも叶えることが可能です。

 弊所でも、「自分を知り、自分で治す」ことをモットーに、
簡単な健康チェック・未病発見の方法や、自分でできる不調改善法をお伝えする、
健康カウンセリング講座などをご用意しております。

 

 微細な生理的変化を検出する最新機器等が次々と登場している今、
”西洋医学的未病” のようなものも、今後増えてくるものと考えられますが、
西洋医学では確固とした治療法が見出せない場合も少なくありません。

 

  「未病」の重要性を普及事業・啓発する目的で、
「未病の日」なるものを定める団体もいくつか存在しますが、
各々、まちまちの日を提唱しているようです。

 一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録された「未病の日」は 3月20日ですが、
これは2017年、コーヒーや茶類の通信販売事業である
ブルックスホールディングスによって制定されたものです。

 貝原益軒の誕生日である12月17日を「未病の日」と定めた学術団体や、
WHOが定める「世界保健デー」である 4月7日を「未病管理の日」とする
別の学術団体もあります。

「未病管理月間」を定めて未病改善に取り組む、神奈川県のような都道府県もあります。

 

 このように、一年に何度も存在する(笑)「未病の日」「未病管理の日」ですが、
いつが相応しいのか、などと考えるのではなく、
一年を通して未病を意識する機会がたくさんあることを、
ありがたいと捉えてみるのはいかがでしょうか?


 これからも「カラダの声」に常に耳を傾け、小さな未病でも軽く考えず、
自らも一層の健康管理に努めるとともに、予防医学の重要性を説いて、
これまで以上に、皆さんの健康・長寿のお手伝いを
させていただければと考える今日この頃です。

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。