世界希少・難治性疾患の日に思う

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「世界希少・難治性疾患の日」に思う

「世界希少・難治性疾患の日」に思う

2023/02/28

希少病・難治性疾患って?

 健康に過ごせるって、決して当たり前のことではないのですよね。
病に苦しむ人、病と闘っている人たちは、世界中にたくさんいます。
そして、その背景は様々です。

 生まれつき健康に恵まれない人もいれば、
自らの生活習慣や不摂生により病を負ってしまう人、
あるいは、何が原因かわからぬまま、ある日突然、病に倒れるという人もいます。

 医学の進歩により、かつては不治と言われた病でも、
共存して天寿を全うできるケースも増えてきていますが、
患者数が極めて少ないために研究が進んでいなかったり、
病気のメカニズムが複雑で、診断法や治療薬の研究開発が困難を極めている病もあります。

 そのような病を、我が国では、
希少病、あるいは難治性疾患(難病)と呼んでいます。 

   「難治性疾患」とは、厚生労働省が認定する難病のことではなく、
もっと一般的な意味で使われており、
「治療が特に難しく、病状も長く持続するため、日常生活の負担が大きい病気」
を指します。

 難治性疾患の中でも、患者数が非常に少なく、
有効な治療法が存在しないものを、希少疾病と言い、厚生労働省は
「対象患者数が本邦において5万人未満であること」と定義しています。
 

 欧米では古くから希少疾患という呼称が用いられてきたようですが、
では、具体的にどのような病気がそれらに該当するかというと、
比較的耳にするものとしては、

 パーキンソン病, 全身性エリテマトーデス, もやもや病, 多発性硬化症
 重症筋無力症, IgA腎症, クローン病, 潰瘍性大腸炎 etc...

が挙げられるようですが、希少疾患は世界に実に7,000種類以上もあり、
日本での患者数だけでも 750-1,000万人、
世界全体では実に 3 億 5 千万人(全人口の約 5%)と推定され、
決して「希少」とは言えない数なのです。

    希少疾患・難病リスト Medical Note
    https://medicalnote.jp/diseases/minor

2月 29日は「希少な日」

 前述のように、希少・難治性疾患に苦しむ人は世界中にいるにも拘らず、
認知度が低いために、社会の理解が得られず、偏見に苦しんだり、
有効な治療法がないことに絶望したりする人が、国を問わずいらっしゃいます。

 また中には、指定難病に認定されていない病もあるため、
高額の医療費負担に苦しんでいる方々もおられます。

 いずれのケースも、本当にお気の毒なことで、胸が痛みます。

 このような現状を鑑み、毎年2月最終日を Rare Disease Day (RDD) として、
より良い診断や治療による希少・難治性疾患の患者さんの生活の質の向上を目指して
世界的規模で、イベントが開催されるようになりました。

 2008年にスウェーデンで始まったこの活動の趣旨に日本も賛同し、
2010年から2月最終日にイベントを開催しています。


 では何故『2月最終日』かというと・・
それは、1年で最も「希少な」日が、 2月 29日であることに由来するようです。

 しかし、「2月29日」としてしまうと、閏年である4年に一度しか開催できないため、
 2月の最終日を、我が国では『世界希少・難治性疾患の日』(RDD JAPAN) と定め、
平年は 2月28日、閏年は2月29日にイベントが行われるようになりました。

 日本では「難病」「難治性疾患」という呼称が
従来より用いられてきた背景を踏まえ、「世界希少疾患の日」ではなく、
「世界希少・難治性疾患の日」としたようです。


 まだ歴史の浅い記念日・イベントですが、
患者さんやそのご家族と社会をつなぐ架け橋となり、
希少・難治性疾患の認知度向上のきっかけとなること、
そして、ひいては診断法や画期的な治療法の開発につながることが期待されます。

 

 我が国では、近年、政府をはじめ多くのステークホルダーが
状況の改善に向けて取り組みを強化しており、
2015 年には「難病の患者に対する医療等に関する法律(通称:難病法)」
に基づく、新たな医療費助成制度が始まりました。

   医薬品医療機器総合機構(PMDA)及び厚生労働省などが中心となり、
希少疾患の治療薬(オーファンドラッグ)の開発も推進されています。

 また、2017 年に開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)の
第 7 回健康と経済に関するハイレベル会合 においては、
日本の経済産業大臣を含めた各国の閣僚が、
「希少疾患の診断と治療に関するイニシアチブ」に署名するなど、
希少疾患領域に対する取り組みを強化する意思表示をしています。

 

 このような流れを生んだ陰には、患者さんやそのご家族たちの涙ぐましい努力もありました。
悲観するだけでなく、『諦めたら、何も始まりません』と、
自ら積極的に行動を起こし、国を動かした人達もおられます。

https://www3.nhk.or.jp/news/special/sci_cul/2023/02/story/ultra-orphan-drugs/

 

 繰り返しになりますが、「健康であること」は、決して当たり前のことではありません。
誰でも、いつ何時、原因も治療法もわからない病に冒されてしまうか、わからないのです。

 医学の進歩に期待することはもちろんですが、上述のような社会的取り組みが、
希少疾患・難病に苦しむ人たちやそのご家族にとって、少しでも救いとなることを願いつつ、
私自身も何らかの形でお役に立てればと決意を新たにするとともに、
改めて「健康について」「命について」しみじみと思いを馳せる1日となりました。

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