端午の節句と「こどもの日」

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端午の節句と「こどもの日」

端午の節句と「こどもの日」

2024/05/05

「端午の節句」とは?

イコール「こどもの日」ではない ?!

 風薫る5月、新緑も美しく、過ごしやすい気候に加え、月初には大型連休もありますね。

 その大型連休の一角を担うのが5月5日の「端午の節句(たんごのせっく)」ですが、
日本では「端午の節句=こどもの日」と理解している人も多いのではないでしょうか?


 「端午の節句」は、他の多くの季節の行事同様、中国から伝わったものです。
中国では「端午節」と呼ばれ、「春節(しゅんせつ)」「中秋節(ちゅうしゅうせつ)」と並ぶ
中国三大伝統節句であり、旧暦の5月5日、2024年は6月10日(月)にあたります。
 

 「端午節」の由来は、春秋戦国時代に遡ります。
国王の側近だった「屈原(くつげん)」という政治家が、陰謀により国から追放され、
身投げして命を落としました。

 決しておめでたい日ではないのですね。。💦

 そのため中国での「端午節」は、屈原の供養の意味を込めて、
国の安泰を祈願したり、無病息災や悪霊退散などを願う日となっています。

 こどものためのお祝いの日でもないのですね。。。🎏

 

 ちなみに、こどもの日のルーツは、1925年にジュネーブで制定された
「国際こどもの日」とされています。当初、「こどもの日」は6月1日でした。

 しかし、1945年、国連は11月20日を「世界こどもの日」と制定しました。
そのため、世界的には6月や11月を「こどもの日」としているケースが多くあります。

 他方、敗戦からの復興を願う日本では、祝日を制定するにあたり、
もともと国民に親しまれていた文化的な日を祝日にするべきでは、との考え方があり、
端午の節句の5月5日を「こどもの日」に充てることになりました。

 

 どうやら、「端午の節句=こどもの日」なのは、我が国だけのようですね。


   しかも、どちらかというと「男の子のお祝い」の色合いが強いのも、ちょっと不可解というか...

「端午の節句」に行うことは?

 ところで、中国では、国の安泰を祈願したり、無病息災や悪霊退散などを願う日「端午節」には、
以下のようなことを行う慣習があります。

  笹の葉に包んだ餅、「粽/粽子(ちまき)」を食べる

  竜舟(ドラゴンボート)の競争を行う

  菖蒲(しょうぶ)や蓬(よもぎ)の葉を吊るす

  蒼朮(そうじゅつ)や白芷(びゃくし)(=いずれも生薬)を燻す

  雄黄酒(ゆうおうしゅ)を飲む

  こいのぼりを揚げる

  etc...

 

  一つ一つに謂れがありますが、
 日本に採り入れられているものも、そうでないものもありますね。
 

 「ちまき(粽/粽子)」は、川に身投げした屈原が魚に食べられないよう、
川へたくさんのちまきを投げ入れたことから、中国では「忠誠心の象徴」と考えられています。

 ドラゴンボートレースは、やはり屈原の亡骸が魚に食べられてしまわないようにと、
人々が舟で川に出て太鼓を鳴らすことで魚を威嚇したことに由来しています。


 薬草である菖蒲(しょうぶ)や蓬(ヨモギ)は、厄払いに使われます。
菖蒲はサトイモ科の植物で、開竅寧心、化湿和胃などの優れた効能があります。
蓬を練り込んだお餅で作った粽や柏餅も売られていますね。

キク科植物の蓬には、浄血・造血作用など血液に関する良い作用の他、
排毒(デトックス)、冷え性改善、美容効果などもあるため、
ヨーロッパでは「ハーブの母、ハーブの女王」とも呼ばれています。

アジアでも、女性の間で健康・美容増進のために「よもぎ蒸し」が人気なのは御存知でしょう。 

 また、日本では「勝負」と同じ読み方をすることから、
勝負強い人生を送れるようにと、「こどもの日」に菖蒲湯に入るようになったと言われています。

 

 キク科植物の蒼朮(そうじゅつ)には、燥湿健脾、祛風湿...などの効能があり、
セリカ植物の白芷(びゃくし)には、解表、祛風燥湿、消腫排膿、止痛 ...
などの効能があります。
 いずれにも「祛風」「燥湿」が入っていることから、風邪(ふうじゃ)を遠ざけ、
湿邪を祓い、この季節にありがきな不調から、私たちを守ってくれる力があります。

 

 「雄黄酒(ゆうおうしゅ)」というのは、白酒や黄酒に微量の雄黄を加えた飲み物です。
雄黄は石黄(せきおう)とも呼ばれる希少鉱物で、天然のヒ素と硫黄を含んでおり、
解毒薬や殺虫薬として使用されます。

古代中国の人々は、雄黄酒を飲むことで厄除けや無病息災を祈願しました。
お酒を飲めない子供たちには、額や耳鼻、手足の平などに塗って、消毒や虫よけとして使用していました。

 

 最後は、日本でも「こどもの日」には普通に見られるこいのぼり。
日本一のこいのぼりの生産地である埼玉県加須市では、毎年、こどもの日に先立ち、
 長さ100m、重さ330kgもあるジャンボこいのぼりが大空に舞います。
地元の老舗和菓子店では、「こいのぼりもなか」や、こいのぼりにちなんだ種々のお菓子も売られています。

    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240503/k10014439731000.html

    https://www.city.kazo.lg.jp/soshiki/shougyou_kankou/event/5650.html
 

 中国の故事で、鯉は「滝を登りきった鯉は龍になる」と言われることから「出世魚」とされています。
戦後の復興を願った日本もこれに倣ったのでしょう。

 また、日本では、男の子のいる家庭で、鎧(よろい)や兜(かぶと)を飾るところもありますが、
これらは子どもたちを災いから守ってくれるお守りとしての意味があります。

  「こどもの日」と言いながら、「男の子のお祝い」の色合い我が国ならではでしょうか。

 戦争を思い起こさせるので好きではない、とおっしゃる親御さんや、
 徴兵制度のない我が国ではそぐわない、とのご意見もあるようですが・・

 

 また、日本では「こどもの日」に食べるものといえば、
真っ先に柏餅を思い浮かべる人も多いと思います。

 これは、柏という植物が新芽が出てから古い葉を落とすことから、
その葉で包んだ柏餅には、子孫繁栄の縁起が込められています。

 日本では、「こどもの日」が制定されるはるか昔、江戸時代中期から、
「端午の節句」には、ちまきと共に柏餅が食べられていたらしい記録が残されているようです。

 当初は塩あんが使われていたようですが、次第に変化して、
小豆あんや味噌あんが使われるようになったそうです。

 

 

 『こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する』ことを趣旨とし、
1948年(昭和23)に制定された我が国の国民の祝日「こどもの日」。 

 この日を含む7日間は、児童福祉週間となっています。

 本来は「端午の節句」であることを頭のどこかで考えながら、
中国の悲しい歴史を思い起こして無病息災や悪霊退散などを願いつつ、
暴力や虐待に遭う子供達がいなくなるよう、
そして子どもたちに明るい未来が訪れるよう切に祈りながら、
今年もチマキと柏餅を食べた私なのでした。

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