「夏越しの大祓え」とは?

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「夏越の祓(なごしのはらえ)」には?

「夏越の祓(なごしのはらえ)」には?

2022/06/30

夏越の祓とは?

 今年は入梅が遅かったにもかかわらず、信じられない早さで梅雨明けを迎えました。
6月28日に近畿地方の梅雨明けが発表され、観測史上最も短いわずか15日間の「梅雨」でした。

 「小暑 (しょうしょ)」を迎える前に”夏本番” に突入するという、異例の年となったわけですが、
各地では、”二段階高気圧”とやらの影響で、6月とは思えない猛暑が続いています。

 特に関東地方では、最高気温が 40℃を超える地域が続発するなど、やはり、どう考えてもおかしい・・・
異常気象に益々拍車がかかってきているように感じます。


 ところで、日本に古くから伝わるの神道の儀式に、
心身の穢れを祓い、無病息災を祈る「大祓(おおはらえ)」があります。
各神社では、年明けからちょうど半年が経過した 6月末日には「夏越の祓」、
1年の締めくくりである大晦日には「年越の祓」が行われます。

 それまでの半年間の汚れを祓い、残り半年間の無病息災を願う「夏越の祓」については、
平安時代に、『水無月のなごしの祓する人はちとせの命のぶというふなり
       (6月の夏越の祓をする人は命が千年伸びると言われている)』
と和歌に詠まれたことからもわかるように、当時から人々はこの「夏越の祓」と言う行事を大切に考え、
無病息災への願いを込めていたことがうかがえます。

 

 「夏越の祓」は、旧暦の6月30日(8月7日頃)に行う地域もあるようですが、
私の知る限り、6月30日に行っているところが多いように感じます。
例年なら梅雨の真っただ中であるはずなのに、
今年は名実ともに”真夏” の太陽の下で行われることになりました。

穢れを祓う儀式

  夏越の祓では、茅(ちがや)という草で作られた大きな輪をくぐることにより
身を清める「茅(ち)の輪くぐり」が有名です。
左回り→ 右回り→ 左回りの順で、8の字を描くように3回続けてくぐることにより、
穢れと疫を落とすことができると言われています。
ここ数年は、感染症の影響で、一般の人の参加を見送っている神社も多いのは残念ですが。

 また、人の形に切った紙(形代)で体をなでた後、息を吹きかけることにより、
穢れを形代に移し納める「人形代(ひとかたしろ)」といった行事もあります。

  この「人形代」は、家族全員、毎年行っているのですが、写真を撮るのを忘れていました。
「茅の輪くぐり」は、一度やってみたいと思いつつ、未だに機会がありません。

自分でできる厄祓い

 しかし、この暑さの中、わざわざ神社へ足を運ばなくても、
自分で厄除け・邪気祓いすることはできます。

 簡単なものとしては、植物を使う方法があります。
日本で食用として馴染み深い蓬(よもぎ)は、台湾では「神草」と呼ばれることもあり、
東南アジア各地で古くから魔除けや邪気祓いに使われてきました。
浄化や厄除けの為に、蓬の線香を使う家庭も少なくありません。

 西洋でも、ギリシア神話に登場する狩猟・貞潔の女神アルテミスに捧げられた薬草とされ、
ハーブの女王とも言われます。

 その蓬を玄関や窓際などに飾ると、魔除けや邪気祓いになります。
キク科のアレルギーがある人は、ローズマリーでも良いでしょう。
枝葉を吊しても良し、白い小皿に葉を入れて、
浄化作用のある天然塩やアロマオイルを垂らすのも良いでしょう。

 

 香りの強い植物やハーブは苦手だと言う方は、
部屋に観葉植物を置くだけでも魔除けや開運の効果があります。
自分の好きな植物でよいのですが、「多幸の木」「幸せを呼ぶ木」と呼ばれ、
インテリアにもよく利用されているガジュマルなどもおすすめです。

 沖縄では「キジムナー」と呼ばれる子供の精霊が宿る木とされ、
「大きく育ったガジュマルの気根の間を通った2人は幸せになれる」という言い伝えもあります。
また台湾では、その枝が神事に使われたり、中には神として崇められている場合もあるようです。

 魔除けに使われることもある木なので、どうも不運続きだなあとか、
なにかうまくいかないなあ、と感じている人は、ひと鉢置いてみるとよいかもしれません。

 置く場所として、特におすすめなのは部屋の東側ですが、窓際など明るい場所であれば良いでしょう。

 

 それ以外の厄除け・邪気祓いの方法としては、
自然界の恵みをたっぷり含んだ天然塩を入れた「塩風呂」に入るのも良いとされています。
塩だけでなく、上述の通り飾り終わって乾燥した蓬やローズマリーを
一緒にお湯に入れても良いかもしれません。

夏越の祓に何を食べる?

 日本の伝統行事には、定番の食べ物があるものですが、
夏越の祓には、「水無月」と呼ばれる和菓子をいただく風習があります。
厄除けの意味をもつ三角形にカットされた外郎(ういろう)の上に
邪気を払うと言われる小豆がのせられている庶民的な味の和菓子で、
これを和菓子屋さんで見かけると、「ああ、もう一年も半ばなんだなあ」と感じます。

   他の和菓子としては、京都の老舗和菓子店「鶴屋吉信」で、
上賀茂神社を流れる御手洗川の清流を寒天で表現している「夏越川」という和菓子が
この日のために作られます。
箱には厄払いの茅の輪が添えられるそうですが、残念ながらまだ見たことも食べたこともありません。
一度、いただいてみたいものです。

 より安価で手に入りやすいものとしては、いわゆる蓬の草餅なども良いかもしれません。
中にあん(小豆)が入っているものなら、邪気払いの力も相乗効果が期待できそうです。
さらに蓬茶を飲みながらいただくと、ほっこりしながら、身体の内部から邪気払いできそうですね。


   蓬(よもぎ)は、中医学的には艾葉(がいよう)と呼ばれ、
若い全草または葉を生薬として用います。
散寒薬としてカラダを温める効果があり、肝、脾、腎に作用します。
カラダが冷えることにより起きる出血(鼻血、喀血など)や疼痛、
下腹部の冷痛の他、生理不順や生理痛および帯下症などにも用いられます。
婦人病の妙薬と言われる所以ですが、もちろん男性にとってもありがたい生薬です。

 また、煎じて外用として用いることもでき、皮膚湿疹の掻痒感に一定の効果があるとされます。
蓬でもぐさやお灸などを作り、ツボに当てることにより、気血を温め、
全身の調子を調える作用もあります。
また近年、蓬から搾れる艾葉油に、止咳、祛痰、平喘の作用のあることが発見されました。

 

 美味しいだけでなく、魔除けや邪気祓いの作用を持ち、
さらには冷房による冷えなどで体調を崩しやすいこの時節に
強い味方となってくれる蓬をうまく取り入れ、
一年の折り返しのこの時期に、邪氣祓いと健康増進を同時に叶えられると嬉しいですね。

  異常気象と感染症に見舞われるこのご時世だからこそ、尚更、
後半半年間の健康と世の中の平穏を、強く願う思いが募るのでした。

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