「筋肉を考える日」って知っていますか?

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「筋肉を考える日」って知っていますか?

「筋肉を考える日」って知っていますか?

2022/04/30

筋肉の働きとは?

 私たちヒトの身体には、大小600を超える様々な筋肉が存在し、
 日常生活のみならず、生命活動を維持する上でも重要な役割を果たしています。

 上腕や下肢、顔、背中など、目に見えて、何かと意識しがちな筋肉もあれば、
内臓や血管を作り、見えないところで生命維持活動に直結する役割を担っている筋肉もあります。

 そんな筋肉は、その構造の違いにより横紋筋と平滑筋に分けられます。
横紋筋には、骨格を司る骨格筋と、心臓を形成し稼働させる心筋があります。
心臓以外の内臓を作っている筋肉は、平滑筋と呼ばれる構造をしています。

 構造や存在する場所が違う分、その働きも様々ですが、
筋肉の働きには主として下記のようなものが挙げられます。

 

1 . 体を動かす、支える(骨格筋)
   筋肉の中でも骨格筋は、関節をつなぐようについており、関節の動きに伴って伸び縮みすることで、
歩く、走る、立つ、座るなどの動作を可能にします。
 また、骨格筋が関節を支え、安定させることにより、
我々は重力の影響を受けつつも、正しい姿勢を保つことができるのです。

2. 臓器・血管・骨の保護(平滑筋)
 外部の衝撃を吸収し、内臓などを守るのも筋肉の役割です。

3. 循環機能ーポンプの役割(心筋)
 心臓すなわち心筋は、全身に血液を送り出すポンプの働きを担っています。
心臓の拍動により大動脈より押し出された血液は、身体の隅々まで巡り、
新鮮な酸素や栄養分を各組織に供給した後、静脈を通って再び心臓に戻ってきます。
心臓は、その血液を肺静脈より肺に送り、肺でガス交換されて新鮮な酸素を含む血液を、
休む間もなく、再びポンプとして全身に送り出します。

 この作用は「筋ポンプ作用」と呼ばれ、まさに生命維持の根幹とも言える重要なものです。

 心臓から離れた組織ほど、血液が心臓に戻りにくくなりますが、
最も遠い場所 ー 下肢に巡ってきた血液を心臓に押し戻す時に重要な役割を果たすのが、
ふくらはぎの筋肉であり、これはふくらはぎが「第二の心臓」とも呼ばれる所以です。

 

4. 熱の産生、体温調整、代謝の調節
 ヒトの体温は、恒常性を有し、外気温と関わりなく常に36度から37度を保つようになっています。
寒い環境下でも一定の体温を保つことができるのは、カラダを守るために熱生産が行われるからですが、
この熱生産の約6割を筋肉が担っています。
 筋肉量が少ない人は、概して寒さに弱く、山で遭難した場合に低体温に陥りやすかったり、
避難所などにおいて、冷えにより体調を崩しやすくなったりします。

 生命維持において重要な意味を持つ熱生産を行うために、筋肉は常に、エネルギーを消費しています。
これが、いわゆる基礎代謝と呼ばれるものですが、筋肉量が多いと代謝量もアップし、
メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の予防にもつながっていきます。

  そんな筋肉の主なエネルギー源は、糖質と脂質ですが、
血液中の糖は筋肉に取り込まれて代謝されるため、筋肉は糖代謝の向上にも寄与しており、
高血糖及び糖尿病の抑制にもつながっています。


5. 免疫力を上げる
   リンパ球を始めとする免疫細胞は、グルタミンというアミノ酸によって活性化されます。
このグルタミンは、筋肉内に多く蓄えられていることから、筋肉量が減少すると、
免疫機能の低下にもつながりかねません。
筋肉は、人間の免疫力の維持にも関係があるのです。


6. ホルモンの産生
   骨格筋から分泌される「マイオカイン」と言うホルモンは、
筋肉だけでなく、血液を介して脂肪細胞や骨細胞などの他臓器に作用し、
筋肉や骨の形成や再生、抗炎症作用、糖質や脂質の代謝への関与が認められています。

 糖尿病や肥満、動脈硬化、がんなどの生活習慣病の予防の他、
心筋細胞や血管内皮細胞の保護などがあるといわれています。


7. 水分を蓄える
   ヒトの身体の構成成分の 60〜70% を占める水のうち、最も大量の水分を保持しているのは筋肉なのです。
すなわち、脂肪量が多い女性に比べ、筋肉量が多い男性のほうが体内総水分量は多いということになります。
筋肉量が少ない人は、水を飲んでもそれをカラダに貯めておくことが難しく、
脱水症状を起こしやすくなってしまいます。

 筋肉量の減少しやすい年配者に、脱水症状や熱中症を発症する方が多いのはこのためです。

「筋肉を考える日」

 このように、筋肉は私たちの日常の活動を支えるだけでなく、
生命にも直結する欠かせない重要な役割を担っているわけですから、
その筋肉の量や機能が低下すると、様々な弊害が現れることは想像に難くありません。

 「筋肉量が減少し、筋力や身体機能が低下している状態」を示すサルコペニアは、
アメリカで提唱された概念で、ギリシャ語で Sarx(筋肉)と Penia(減少)を合わせた言葉ですが、
特に高齢者の身体機能障害や転倒のリスク因子になり得るとされており、
要介護となる要因にもなっています。 

 また、若い人に多い「隠れ肥満」は、
無理なダイエットや食生活の乱れなどによって筋肉量が低下することにより、
脂肪の占める割合が肥満の人と同等レベルに多くなっている状態であり、
サルコペニアと同様の現象と言えるため、「サルコペニア肥満」とも呼ばれます。

 日本人に多い「サルコペニア肥満」(隠れ肥満)の根本的原因は、
自律神経の低下にあると唱える医学者もいるようですが、
いずれにせよ「サルコペニア肥満」は、肥満同様、
生活習慣病をはじめとする内臓疾患のリスクが増大するだけでなく、
筋肉率が男性27.3%、女性22.0%を下回ると、運動機能の低下をきたすといわれており、
メタボリックシンドロームより怖い、とも言われています。

 

 大手製菓メーカーである森永製菓株式会社は、
スポーツを通して食と健康の在り方を考え、筋肉の重要性について伝え続けてきましたが、
国民に、筋肉の大切さと筋肉の栄養源であるタンパク質摂取の重要性を知ってもらい、
自身の健康について改めて考えていただくために、
2017年、「筋肉を考える日」なるものを制定しました。

認知度はあまり高くありませんが、日本記念日協会にも正式に登録されている記念日です。

 毎年、『金(筋)曜日が29(肉)日になる日』が「筋肉を考える日」となりますが、
 2022年の最初の「筋肉を考える日」は、4月29日(金)でした。
その後は、7月29日(金)のみとなります。

 

 人類の進化において、脳と筋肉は同時に進化を続けてきましたが、
脳が主導した種々の技術の発展に伴い、筋肉は逆に退化の一途を辿ることとなりました。
筋肉は動くことによって鍛えられ、人のカラダや臓器を支えるわけですが、
段々、本来の役割を果たせなくなっているのです。

 米国の研究結果では、『歩くスピードが遅い人ほど短命』との報告がなされています。
歩行速度が速いということは、それだけ強く筋肉を収縮できるということであり、
約60%を占める腰から下の筋肉の収縮力が強い人は、筋肉が持つポンプ作用も強いということになり、
心臓へ血液を戻すのも、心臓から再びエネルギーを含む血液を供給するのも、
すばやく力強く行えるということになります。

 すなわち、速く歩けない人は、血液循環にまつわるポンプ機能が低下していることも一因であり、
寿命にも影響を及ぼすものと考えられます。


 また近年、運動不足は認知症につながりやすいこともわかってきました。
適度な運動により筋肉の量と機能を維持することが、生活習慣病の予防につながることは述べましたが、
認知症の発症も予防できるとなると、要介護者の抑制も見込め、
ひいては医療保険や介護保険の崩壊の危機という社会問題の解決にもつながるのです。

筋肉を作る・増やす・維持するための食生活

 筋肉を動かすために必要なエネルギー源は、主として糖質と脂質であることは先に述べましたが、
筋肉を効率よく増やすためには、運動とともに栄養が重要であることは言うまでもありません。

 筋肉はたんぱく質でできていますので、そのために特に必要な栄養素はたんぱく質となります。
たんぱく質は、肉・魚介類・卵・乳製品などに多く含まれる「動物性たんぱく質」と、
大豆製品や穀物などに多く含まれる「植物性たんぱく質」に分けられますが、
どちらかに偏るのではなく、両者をバランスよく摂取することが大切です。

 では、どのくらいの量のたんぱく質を摂取すれば良いのかと言いますと、
十分な筋肉量を持つ人が、それを維持するためには、成人の場合、
1日に体重1kgあたり1g のたんぱく質摂取が目安となります。

 しかし、サルコペニアで筋肉を増やす必要がある人は、
成人の場合、1日に体重1kgあたり1.2~1.5g のたんぱく質摂取が必要となります。

 ただし、腎臓の機能に問題を抱えている場合は、
たんぱく質の摂取制限が必要となることもありますので、素人判断は禁物です。

 

 

 よく歩く・動くことにより筋肉を鍛え、
動物性タンパク質と植物性タンパク質をバランスよく、適切な量摂取する食生活により、
強く若々しい筋肉を作り、維持することができたなら、
それは健康寿命を伸ばすことにもつながります。

 「筋肉を考える日」を機に、是非とも、そのような生活習慣を意識したいものですね。

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