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世界糖尿病デーに思う

世界糖尿病デーに思う

2020/11/14

制定の背景

 爽やかな秋晴れとなった今日11月14日は、世界糖尿病デーでした。

 膵臓のランゲルハンス島 β 細胞から分泌され、
糖を分解して血糖値を抑制する作用を持つペプチドホルモンである
インスリンを発見したカナダのバンティング博士の誕生日である11月14日を、
世界に拡がる糖尿病の脅威に対応する日にしようと、
IDF(国際糖尿病連合)とWHO(世界保健機関)が1991年に制定しましたが、
2006年12月20日の国連総会において
「糖尿病の全世界的脅威を認知する決議(UN Resolution 61/225)」が、
加盟192カ国の全会一致で採択されると同時に、国連により公式に認定されました。

 現在、世界糖尿病デーは、世界160カ国から10億人以上が参加する
世界でも有数な疾患啓発の日となっており、
この日を中心に全世界で繰り広げられる糖尿病啓発キャンペーンは、
糖尿病の予防や治療継続の重要性について国民に周知する重要な機会となっています。

 糖尿病は、今や日本人の国民病と言っても過言ではなく、
誰でもそのリスクと隣り合わせである身近な病ですが、
その日本において、この日を知っている人、
そして糖尿病の恐ろしさ(=死に至る病)を本当に理解している人は、
はたしてどのくらいいるでしょうか?

 

 

糖尿病とは?

 糖尿病の原因を端的に説明すると、
◎インスリンの分泌量が足りない
◎インスリンが働かない・働きが悪い

ということになります。
つまり、「インスリン」に依存する病であるわけですが、
アジア人は欧米人に比べ、インスリンの分泌量が少ない人が多く、
糖尿病になりやすい傾向があると考えられます。
ストレスや加齢、感染症、他の疾患や遺伝的素因が発症の引き金となることもあります。

 自己免疫学的機序により、膵臓のβ 細胞が破壊され、
インスリンが分泌されなくなるために
慢性高血糖状態となる1型糖尿病もありますが、これは生活習慣病ではありません。

 他方、内臓脂肪からインスリンの働きを抑制する物質が分泌されるため、
内臓脂肪が多い(=肥満)とインスリンの働きが悪くなり、糖尿病を発症しやすくなります。
糖質の過剰摂取が長期的に続くことにより、
インスリンの分泌が追いつかなくなって糖尿病を発症することもあります。
これらの原因による糖尿病は、いわゆる生活習慣病ということになり、
我が国を含め、世界中で増え続けています。

 インスリンという名前は、その分泌器官である
ランゲルハンス島の「島」を示すラテン語(insula)に由来します。
「インシュリン」と発音されるケースも多いですが、
2006年頃に専門分野においては「インスリン」と表記されることになりました。
現在、1型糖尿病における唯一の薬物療法として、インスリン注射が用いられています。

   ちなみに、インスリンについては、
発見者であるバンティング博士・マクラウド博士を含め、
計5人がノーベル賞を受賞しています。
サンガー法の開発者であるフレデリック・サンガー (Frederick Sanger) も、
インスリンのアミノ酸構造の解明により、1964年に最初のノーベル化学賞を受賞しました。

 

 IDF(国際糖尿病連合)によると、
2019年時点で、世界の成人(20-79歳)の糖尿病人口は4億6,300万人であり、
これは世界の成人のおよそ9.3%に当たりますが、
2045年には約7億人に増加するのではないかと予測されています。

世界の糖尿病治療及び合併症管理にかかる医療費は、
総医療費の10%を占める7,600億USD(約83兆円)にもなり、
世界経済を圧迫する要因にもなっています。

 日本では、2016年の糖尿病実態調査によると、
「糖尿病が強く疑われる人」「糖尿病の可能性を否定できない人」が各 1,000万人ずつおり、
つまり総人口の15%を超える約2,000万人が糖尿病患者および予備群であると推定されています。


 そして世界中で、年間500万人以上が、糖尿病に起因する合併症などで死亡しています。
世界のどこかで、6秒に1人が糖尿病に関連する病で命を奪われているのです。
これは実に、AIDSによる死者に並ぶ数字です。

 にも拘らず、『死に至る病』との認識がこれだけ低いのは何故でしょうか?

 

サイレントキラーの脅威

 日本人の死亡原因は、第1位のがんに続いて心臓疾患が多く、
第3 - 5位には、肺炎、老衰、脳血管障害が僅差で入れ替わりながら続きます。
以下、不慮の事故、腎不全、認知症、自殺、等々となりますが、
では、糖尿病は・・・?

 糖尿病の怖さ、悲惨さは、その合併症にあります。

 神経障害、腎障害、網膜症の3大合併症に加え、
心臓病や脳卒中などに直結する動脈硬化を引き起こすこともわかってきました。
最近では、がんや認知症との関係も示唆されています。

 つまり、「糖尿病」が直接の死因として現れていなくとも、
糖尿病を患っていたがために、重篤な病を発症し、死に至る・・・
というケースが多いのです。

 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の重症化リスクにも
糖尿病などの基礎疾患を有していることが挙げられています。
 

 糖尿病は、初期の頃は自覚症状がありませんが、
見えないところでじわじわと合併症が進行しています。

  世界の糖尿病人口の4分の3(3億5,200万人)は、20-64歳の就労世代が占めており、
65歳以上では、5人に1人が糖尿病をもっているそうですが、
医療機関や健診で糖尿病もしくはその予備軍と診断されながら、
「治療を受けていない」人の割合は、特に男性の40代、つまり働き盛り世代で最も高く、
この世代の実に半数の人が、未受診・未治療または治療中断という状況だそうです。

そして、気がついた時には合併症のため、
日常生活に支障があらわれている、
あるいは命の危険が迫っている、ということが少なくありません。


 糖尿病の進行度は、空腹時血糖値、随時血糖値、HbA1cの数値から総合的に判断されます。
通常の健康診断では、空腹時血糖値のみ測定する場合が多いのですが、
その数値が100mg/dl を超えているようであれば、できるだけ早期に受診して、
随時血糖値とHbA1cも計測することが必要となります。

 
 糖尿病は、日頃から食生活に気を配り、適度な運動も取り入れて
血糖値をコントロールしていれば、防ぐことができる病気です。
たとえ罹ってしまったとしても、きちんと治療を行い、生活習慣を改め、
正しい知識の下で血糖値を適正に保つことで、
合併症を予防できることがわかっています。

 にも拘らず、残念なことに、
国連決議で「世界糖尿病デー」が採択された2006年以降も、
患者数や、それにより命を落とす人は増え続けているのです。

 飽食の時代に加え、予期せぬパンデミックにより訪れたリモートの時代・・・
便利さや快適さは、必ずしも人の健康や幸福に寄与するとは限りません。
むしろ、糖尿病のみならず、多くの生活習慣病の発症リスクを高めることに
つながる危険性をも孕んでいます。

 どのような病気でも、合併症の発症を抑え、重症化を予防するためには、
早期発見・早期治療が重要となりますが、糖尿病も然りです。

 「新しい生活様式」を考えるにあたり、
今一度、日常の食生活や運動習慣を見直し、
そしてご自身の「カラダの声」にしっかりと耳を傾けていただくと共に、
できれば、定期的な健診や、体重・血圧・血糖値等の測定を
習慣づけていただければと思います。


 弊所では、糖尿病患者様のみならず、
血糖値が高めと言われた方や、そのご家族からのご相談をお受けし、
カウンセリングをさせていただくことがありますが、
簡単な食養生や生活改善のアドバイスをするだけで、
改善された方もたくさん居られます。

 繰り返しになりますが、高血糖も、糖尿病も、
ご自身で防ぐことも、重症化を食い止めることもできるのです。

 どうぞ、くれぐれも放置することなく、
日頃から健康全般に気を配り、
ご自身のカラダ、一つしかない命と真摯に向き合って、
サイレントキラーの脅威に屈することなく、
健康で幸せな人生を全うしていただきたいものです。

 

世界糖尿病デー(日本)2020 サイト  http:// wddj.jp

出典:IDF Diabetes Atlas 9th edition 2019
   https://www.wddj.jp/01_howto.htm ほか

写真: 「糖尿病との戦いのために団結せよ(Unite for Diabetes)
キャンペーンのシンボルマークであるブルーサークル。
青い輪は国連や空を表し、「輪」は団結を表しています。

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