「紅花栄(べにばなさかう)」です・・・【自然医科学研究所】

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「紅花栄(べにばなさかう)」です・・・【自然医科学研究所】

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2023/05/29

 5月21日から二十四節気の「小満」に入りました。

 小満とは、「すべての生命が生長し、栄えて満ちあふれていること」
を意味する言葉ですが、実際、日ごとに陽気が良くなり、
自然界の氣が次第に長じて天地に満ち始める時期です。
 
    立夏から数えて15日目頃、夏を思わせる陽気の日も増える一方で、
「梅雨の走り」の時期でもあり、ぐずつく天候が続くこともありますが、
この雨は、田植えの準備を始めるにあたり、大切な恵みの雨となります。

 通常は、その後、本格的な梅雨を迎えるのですが、
今年は九州北部〜東海にかけて、早い入梅となり、
当地でも、5月29日に梅雨入りの発表がありました。 


 日差しも強くなってきて、麦の穂が育ち、山野の草木も実をつけ始め、
紅花(べにばな)が盛んに咲き乱れる候でもあります。

 5月26日からは七十二候の一つ、『紅花栄(べにばなさかう)』となります。
あたり一面に咲きほこる紅花の様は、圧巻の風景でもありますが、
紅花は、どちらかというと観賞用というより、古代エジプト時代から、
染料や口紅として利用されていました。

花びらに含まれる水溶性の黄色の色素と、不溶性の赤の色素から、紅色がつくられます。

他には、食用の油、漢方薬、薬膳料理や紅花茶の材料、としての利用法などがあります。


 紅花は、中醫学的には「こうか」と発音することが多く、
体を温める作用のある温性を示し、特に「心」と「肝」の症状に効果的な生薬です。

 血液の流れを改善する活血化瘀作用があるため、
各種の瘀血阻滞(血行不良)による疾患及び諸症状に幅広く使われており、

高血圧、狭心症をはじめ、静脈血栓症、静脈瘤、脳梗塞、高脂血症、動脈硬化
等の心血管系の疾患をはじめ、糖尿病による壊疽などにも効果があると言われています。

 また、月経痛や月経不順などの婦人病、内出血伴う打撲や外傷などにも用いられています。

 漢方薬として用いる場合には、紅丹参、川芎、芍薬などと併用されることが多く、
血液をサラサラにする「冠元穎粒」や「血府逐瘀丸 (湯)」などにも紅花が含まれています。

 

 ただでさえ、優れた効果・効能を有する紅花ですが、
なんと中国では、この紅花が配合された漢方薬を静脈注射することにより、
敗血症の救命率を上げているというのです。

 敗血症は、全身性炎症反応症候群とも呼ばれ、
細菌などの病原微生物に感染することにより、生命を脅かす生体反応です。

 本来、無菌であるはずの血液中から、病原性微生物が検出されることにより
診断されることが多いですが、致死率数十%、
日本でも年間推定10万人程度が命を落としています。

 全身に影響を及ぼし、意識障害や多臓器障害をきたすため、
助かっても後遺症が残るケースもあります。

 最近でも、60代前半のいかにも健康優良児という体型の芸能人が
敗血症で亡くなったことは記憶に新しいところです。


 そんな敗血症の治療に用いられているの静注漢方薬は、
XueBiJing(シェビジン)というもので、
2004年には中国で敗血症や多臓器不全症候群の治療薬として認可されています。
また、中国版のCOVID-19診療ガイドライン「COVID-19肺炎診察治療案」にも
推奨薬として挙げられています。

Liu S, et al. Effect of an Herbal-Based Injection on 28-Day Mortality in Patients With Sepsis: The EXIT-SEP Randomized Clinical Trial. JAMA Intern Med. 2023 May 1:e230780.


 配合生薬は、紅花、赤芍、川芎、丹参、当帰 とシンプルで、
日本でも入手できそうなものばかりです。

 エンドトキシンに対する拮抗作用や、
マクロファージが作り出す内因性炎症メディエーターの抑制作用、
敗血症やがん・白血病などによるDIC(播種性血管内凝固症候群)における
凝固障害の改善が期待されるということです。

 

 紅花は、日本でも山形、埼玉などで栽培されていますが、
山形県白鷹町が、全国シェア6割を超える全国随一の生産地のようで、
そのため「日本の紅 (あか) をつくる町」をキャッチフレーズに掲げているようです。

 

    美しいだけでなく、いざという時に私たちの命を救ってくれる
こんなに頼りになる紅花ですから、もっともっと国内での生産が盛んになるといいですね。

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