謹賀新年・・お屠蘇で乾杯!
2021/01/02
お屠蘇で寒さに負けない身体を
地球上の人類が、目に見えない同じ敵におののき、
振り回されるという未曾有の年、2020年が終わり、
新しい年 2021年が幕を開けました。
今年の願いはと問われましても、
このパンデミックが1日も早く終息し、
世界中の人々に平穏な日常が戻りますように、
としか答えが浮かんできません。
昨年の年の瀬は、クリスマス商戦同様、
お正月商戦も例年ほど活気がなかった感がありますが、
それでも商店などでは、顧客が伝統食材や飾り付けを
競い合ってカゴいっぱいに買い求める姿が見受けられ、
やはりどのような状況下にあっても、
お正月は特別な日であり、それにまつわる諸行事は
日本人の心のよりどころなのだと実感したものです。
日本では、お正月には、御節(おせち)という伝統食・行事食を囲んで
新年を祝う風習がありますが、この御節を形成する個々の料理の一つ一つには
各々、謂れがあることは、日本人なら誰しも知っていることです。
お正月には、特別なお酒、つまりお屠蘇(とそ)をいただく風習もあります。
一年の邪気を払い、延命を願って飲むわけですが、
お屠蘇の正体と効能については以外と認識が低く、
御神酒(おみき)と混同していたり、好きなお酒で代用したりする家庭もあるようです。
お屠蘇は、「屠蘇散」または「屠蘇延命散」と呼ばれる数種類の生薬を配合したものを
お酒やみりんに漬け込んだもののことで、いわば漢方薬のようなものなのです。
唐の時代に中国より伝えられ、平安時代には貴族の正月行事に使われていたものが、
江戸時代以降には一般庶民にも広まりました。
屠蘇散を構成する生薬は、下記のようなものになります。
白朮(ビャクジュツ) |
オケラ(キク科 )またはオオバオケラの根 ー氣を補い消化器を強める、温性、苦・甘味、
|
山椒(サンショウ) |
サンショウの実 ー 寒さを除く、熱性;辛、帰経* - 脾、胃、腎 |
桔梗(キキョウ) | キキョウの根 ー 咳を止め痰を除く、平性、苦味、帰経* - 肺 |
肉桂(ニッケイ) |
ニッケイ(クスノキ科)の樹皮 (シナモン) ー 寒さを除く、大熱性、辛・甘味、 |
防風(ボウフウ) | ボウフウ(セリ科)の根及び根茎 ー 身体を温め外敵から護る、辛・甘味、微温性、 帰経* - 膀胱、肝、脾 |
陳皮(チンピ) | みかん(ミカン科)の果皮 ー 氣を巡らせる、温性、辛・苦味、帰経* - 脾、肺 |
*帰経;どの臓腑に作用するかを表す。
このように、お屠蘇には、この時候に私たちの身体を守ってくれる
頼もしい自然界の恵みがたくさん入っており、
文字通り、寒さによる不調を未然に防ぎ、
無病息災を叶えてくれる漢方薬ということになるのです。
食前酒のようにおせち料理を食べる前に飲むとされていますが、
単なる行事食(酒)ではなく、お屠蘇を飲むことは
科学的にも理にかなった慣習であるといえます。
とはいえ、法的にはお酒なので、未成年者は NGですし、
アルコールに弱い体質の人や、病気等によりお酒を禁じられている人も
飲めないということになります。
そのような場合は、煮切りみりん(アルコールを飛ばしたみりん)に
漬け込むなど工夫して、お正月を楽しみつつ、いえ、
お正月以外でも、寒い時期の健康管理に役立てたいものですね。
カラダを温め、氣を巡らせ、肺や消化器に作用するものを摂取することは、
今、世界中を震撼させている外敵から身を守り、
健康で一年を過ごすためにも、有効であると考えられます。
寒い時期は、お屠蘇で晩酌、お祝い事にはお屠蘇で乾杯、なんていうのもいいかもしれませんね。